イギリスのEU離脱がヨーロッパの観光業にどのような影響を与えるのか

イギリスのEU離脱がヨーロッパの観光業にどのような影響を与えるのか?

イギリスのEU離脱がヨーロッパの観光業にどのような影響を与えるのかということは、 イギリスのEU離脱に対して浮かぶたくさんの疑問のうちの1つです。

イギリスがEUを離脱し、域内の自由な行き来に変化が起きる可能性があることによって、渡航者数は一時的または永続的に減少するかもしれません。また、旅行業者にとっても、様々な新しい手続きや規制に対応させられることになりそうです。

この記事では、イギリスのEU離脱がイギリスとヨーロッパ双方の観光業に与え得る影響について考えていきます。イギリス人の渡航者の市民権の位置付けが変わることで、渡航者数がどのように影響を受けるのかを考え、そして観光業側の反応についてもいくつかのシナリオを検証していきます。

ヨーロッパの観光業に対するイギリスのEU離脱の影響

イギリスのEU離脱に関して不安定な状況が続く中で、ヨーロッパの観光業はいくつかの影響について準備をしなければならない状況です。現在、イギリスからヨーロッパを訪れる渡航者は年間5590万人ですが、イギリスがEUを離脱するとこの数字に変化が起きる可能性があります。

ヨーロッパから完全に離脱した時には、イギリスの人がシェンゲン圏内やヨーロッパを旅行する時の状況が、いくつもの点で大きく変わる可能性があります

欧州連合からの「合意による離脱」がなされた場合でも、イギリスからスペイン、フランス、イタリアなどの国に向かう観光客の流れに影響を与える何らかの変化が生まれる可能性が高いです。

イギリス人旅行者に対する新しい渡航手続き

イギリスとEUの間で今後数ヶ月に離脱交渉がまとまれば、イギリス人渡航者がEU シェンゲン圏に入域する上での通常の要件は、変化しない可能性もあります。単に、現在と同様に、パスポートが必要なだけです。

しかし、「合意なき離脱」になった場合には、イギリスの人がヨーロッパに渡航する時にも、ETIASビザ渡航認証が必要になる可能性があります。これは数年後に利用開始となるもので、イギリス人の渡航者は180日あたり90日まで欧州連合加盟国に滞在できるようになります。これはオンラインで取得できるもので、3年間有効です。

旅行保険の条件変更

イギリスのEU離脱後には、イギリスの人が欧州健康保険カード(European Health Insurance Card、EHIC)を使えなくなる可能性があります。およそ2700万人のイギリス人が所持していて、シェンゲン圏や欧州連合加盟国を旅行している時の医療費に対して使うことができます。

ただし、離脱交渉に双方から合意が得られた場合には、2020年までは移行期間になります。こうなれば、2020年12月31日まではイギリス人の渡航者もEHICを使い続けることができるようになります

「合意なき離脱」になった場合には、この協定は即時無効になります。そのため、イギリスの人が欧州連合加盟国に渡航する前には、医療行為も対象にした旅行保険に加入することが必要になるでしょう。

ヨーロッパの観光名所の収益減

イギリスから欧州連合加盟国への渡航者数は減少する可能性があり、これはどのような形の離脱になってもすぐに結果として現れる可能性があります。欧州連合加盟国に旅行するときにどんな渡航文書が必要なのかもはっきりしませんし、ポンド通貨の価値も上下することが想定されるため、単純に旅行を避ける人が増えるかもしれません。

イギリスの観光業に対するイギリスのEU離脱の影響

現時点で、イギリスがどのような形で欧州連合を離脱するのかは、はっきりしません。イギリス政府は公式に欧州連合との離脱協定案を正式決定しましたが、いまだに議会に批准されていません。

イギリスのEU離脱は2020年2月1日まで延期されましたが、欧州連合から最終的にどのような形で離脱するのかは、まだ決まっていません。どのような形になっても、イギリスの観光業界が大きな影響を受ける可能性があります。

観光業におけるスタッフの雇用

イギリスの旅行業界が最も恐れていることの1つは、より厳しく、より制限の強い出入国管理法制が施行されることです。イギリスの観光セクターで働くために欧州連合加盟国から雇用されている臨時スタッフや常勤スタッフは何千人もおり、この人たちに大きな影響が出る見込みです。

官僚主義が強まり、外国人スタッフの雇用コストが上昇すると、イギリスの観光ビジネスは難しい状況に直面することになるでしょう。スタッフが足りなくなったり、各企業が十分なサービスを提供できなくなったりする可能性があります。

イギリスへの外国人観光客の減少

イギリスの観光業界は、「合意なき離脱」の直後に渡航者数の減少を経験する可能性が高いでしょう。現時点で、イギリスへの渡航者の68%が欧州連合加盟国から来ています。欧州連合からの「合意による離脱」が実施された場合には、この数字はほぼ横ばいとなる見込みです。

イギリス政府は以前、「合意なき離脱」の場合には自由な行き来は即座にできなくなることを示唆していましたが、今では、欧州連合からの渡航者は、今後もパスポートだけで渡航できることが明らかになっています。

いずれにしても、保安検査は以前より厳しくなり、電子ゲートや国境検査所でのEEA IDカードの使用が2020年に段階的に導入されることが示唆されています。短期滞在の観光客に対してビザが必要になるのかどうかは、イギリス政府もまだ公式には明らかにしていません。

観光業界の資金不足

イギリスの観光業界は、EUからの補助金がなくなることで、資金面でも影響を受けることが見込まれます。現在、イギリスは欧州連合からかなり高額な補助金を受け取っており、イギリスのEU離脱が完了すると、これも終了することになりそうです。

現在、イギリス国内の文化業界や観光業界は、欧州連合の様々なプロジェクトからおよそ5700万ユーロの補助金を受け取っており、さらに、各地のインフラ整備に欧州地域開発基金から資金が提供されています。

イギリスが完全にEUから離脱すると、この資金はその後得られなくなり、イギリス政府がその不足分を補わなければならなくなるかもしれません。

イギリスのEU離脱がどのような結論になるとしても、ヨーロッパの渡航ルールは次第に変化していますし、欧州加盟国への渡航ニーズも伸びています。

イギリスがEUを離脱するかどうかに関わらず、シェンゲン圏を訪問する第三国からの渡航者については、2021年からETIASの取得が義務化されます。アメリカ、カナダ、オーストラリアなどからの渡航者は、シェンゲン圏の国に入国する前に、オンラインでETIASの申請を行うことが必要になります。

当社のウェブサイトを使用することにより、当社はクッキーポリシーに同意します。 ここをクリック,もっと知るには 同意する