前科がある人のヨーロッパ旅行

前科がある場合のヨーロッパ旅行

いったん前科が付いてしまうと法律上・行政上の権利・資格制限など、様々な不利益を受けることになります。その一つとして、海外旅行が上げられます。

犯罪歴のある人に対する入国規制は国ごとに異なり、アメリカやカナダのような国では、テロなどの影響もありその入国規制は厳しいものになっています

アメリカの電子渡航認証ESTAを取得する際には、犯罪歴の有無を申告しなければならず、犯罪歴が「ある」と答えた場合通常はESTA渡航認証を受けることができません。

しかし、ヨーロッパの国々では、暴力的または重大犯罪を犯した前科のある外国人旅行者に対して厳しい入国禁止政策をとっているものの、一般的に犯罪歴のある旅行者の入国に対しての規制は、北米に比べて緩いものとなっています

しかし、ETIASビザ免除制度の導入により、これまで聞かれることのなかった前科に関する質問が、ETIAS取得の際に設けられると予想されます。

犯罪歴がある場合のヨーロッパ渡航

国によって方針は異なりますが、一般的に、日本を含むビザ免除対象国から観光目的で短期滞在する外国人旅行者に対しては、ヨーロッパの国境で犯罪歴の確認は行われません

しかし、まれに国境職員から犯罪歴を聞かれた際、真実を話さないと状況を悪化させるだけなので、犯罪歴がある場合は正直に話すことが重要になります

2022年後半以降、これまでビザが免除されていた国からシェンゲン圏に入国する旅行者は、短期滞在のためにオンラインでETIAS(欧州渡航情報認証制度)の事前登録が必要になります。この電子渡航認証の申請手続きには、ヨーロッパへの公共安全上のリスクを事前に確認するためのセキュリティチェックが含まれます。

有罪判決を受けた第三国からの旅行者に関するヨーロッパ犯罪記録情報システム

2019年4月9日、欧州委員会により、有罪判決を受けた第三国国民に関する欧州犯罪記録情報システムの導入が承認されました。この中央システムの目的は、有罪判決を受けた非EU市民や無国籍者に関する犯罪記録情報の共有を円滑にすることです。データの共有は、欧州犯罪記録情報システム(European Criminal Record
Information System for third-country nationals: ECRIS-TCN system)を通じて行われます。

欧州委員会副委員長のVĕra Jourová氏によると、「新システムにより、法執行当局は、以前にEU内で有罪判決を受けた第三国の国民を迅速かつ容易に発見することができるようになる」という。欧州犯罪記録情報システム(ECRIS)は警察と司法の連携の強化の手助けにもなり、犯罪やテロ対策にも役立つことが期待されます。

ECRIS-TCNの特徴:

  • 当局はオンライン・データベースにアクセスし、ヒット/ノーヒット検索メカニズムで犯罪歴の検索が可能。
  • ECRIS に管理されている情報には、指紋などの身元情報、および顔画像などが含まれる。
  • システムは IT システムの運営管理をするeu-LISA機関によって管理され、ETIAS(エティアス)だけでなく、自由、安全、司法の分野における他の大規模な情報システムも扱われる。
  • ECRISは、刑事手続きに貢献するだけでなく、未成年者の就労許可や銃器の取り扱い免許取得など、他の認可された目的にも使用することができる。

さらに、委員会によって提案された更なる法案が交渉中であり、法案が承認されれば、ETIAS欧州渡航情報認証システムを通じて申請が行われた場合、ビザ情報システム(VIS)の申請審査内容や身元詐欺を調査する目的で、ECRIS-TCNデータベースをチェックすることが可能になります。

軽犯罪の前科がある場合ヨーロッパ旅行とETIAS申請

ETIASが導入されると、これまでビザが免除されていた国からの旅行者は、シェンゲン26カ国のいずれかの国に180日以内で90日まで滞在する場合は、オンラインでETIASの申請を行う必要になる。

ETIASの要件には、シェンゲン圏への入国時に少なくとも6ヶ月間有効なパスポートを持っていることと、安全と健康に関する一連の質問に答える必要があります。

まだ確定はしていませんが、申請には犯罪歴に関する質問が含まれることが予想されています。しかし、テロリストの脅威を特定することを目的とした制度であるため、軽犯罪の前科がありヨーロッパに行く人の場合、申請の承認に影響がある可能性は低く、問題なくETIASのビザ免除を取得できると予想されます。

重大な前科がある場合のヨーロッパ旅行

観光でヨーロッパに行く旅行者は、現在、特にシェンゲンのパスポートフリーゾーン内の26か国のいずれかに入国する際に、軽犯罪の有無について尋ねられることはありません

しかし深刻な重要犯罪を犯した旅行者は、シェンゲン圏ETIAS諸国への短期滞在のための入国に問題が生じる可能性があります。3年以上の服役経験のある方、人身売買や麻薬犯罪で2年以上の服役経験のある方は、入国を拒否される可能性があります。

政策は国によって異なり、例えば、ドイツでは以下のような他のシェンゲン加盟国よりも厳しい規則があり、強制送還する権利を留保しています。

  • 公序良俗違法で有罪判決を受け3年以上の刑に処せられた場合。
  • 薬物犯罪で2年以上の刑に処せられた場合。
  • 人身売買に関連した犯罪を犯した場合。

しかし、ドイツの国境当局は、EU域外での犯罪よりもドイツ自国内での犯罪歴の有無を重視しています。

イギリスでは、旅行者が最後に服役してから10年以上が経過している場合(服役期間が6ヶ月から30ヶ月の刑期の場合)、この服役後の10年間が、更生期間として扱われることになり、前科の「効力失効」とみなされ入国が許可されることがあります。しかし30ヶ月を超える懲役刑は、服役してから10年以上が経過していても「刑の効力失効」とはみなされません。6ヶ月未満の懲役または罰金刑などの場合は、この更生期間が5年以下に軽減されます

禁固刑が「効力失効」とみなされた場合、渡航者は前科を申告する必要はなく、入国管理局が犯罪を認識していても、それを不利に利用することはできません。

しかしながら、犯罪歴があってヨーロッパに旅行される人は、入国の最終的な決定は多くの場合、入国審査官の個々の裁量が大きいということを予め留意しておきましょう。入国審査の際には、礼儀正しく、質問された内容には正直に答えることがとても重要になります。

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